翻訳と印税の関係について詳しくお話します。
印税とは商業出版の場合に、出版社(発行者)が著者(著作権者)に対して支払う報酬をいいます。
本の定価の何パーセント(印税率)かに発行部数(あるいは実売部数)を掛けて計算するもので、当然出版物、また著者や出版社によって変わってきます。
印税の扱いについては作家と出版社との間の契約で決めることであり、一律に何%という具合に決まっているわけではありません。
印税は「本の定価×印税率×刷り部数」で決まります。
現在の日本の出版界では、本が売れようが売れまいが、刷った分だけ印税が支払われる場合がほとんどです。
印税率は5パーセントから8パーセント(絵本の場合は別)、初版刷り部数はハードカバーで3000部から5000部、文庫で10000部くらいのことが多く、印税は刊行翌月に振りこまれる場合もあれば、三カ月後という場合もあります。
どうしてこういう差があるかと言えば、推測ですが、出版各社の原価構成や体力、収益率、営業力といった経営面からの制約で印税率が決まり、しかも一度決まるとそれが社内基準になり、状況が変わっても、その印税率をもとに原価をはじく慣行ができてしまい、なかなか変えられなくなる、といったところでしょうか。
定価1400円の本を5パーセントの印税で3000部刷ったとすると、21万円の収入になります。
定価2000円の本が8パーセントで5000部なら、80万円ですね。
三倍以上の開きがありますが、翻訳にかける時間はそこまでちがわないはずで、おまけに、なぜ3000部なのか、どうして定価は1400円なのか、といったことは説明してもらえません。
担当編集者は、翻訳者から見れば出版社の顔ですが、じつは刷り部数や定価を決定する権限は編集者にない場合もあり、また、本の中身を良くしようと考えてくれる編集者とは、お金の話はしづらいものです。
翻訳を依頼される時には印税率しか決まっていない場合も多く、刷り部数などは刊行ぎりぎりに教えてもらうことも少なくありません。
年に何冊翻訳できるか、と考えると、一つの作品が増刷で何万部か売れてくれないと、翻訳者は生活していけないのが現実なのです。