ここでは出版翻訳をとりまく現状についてお伝えできればと思います。
出版翻訳に関する数字を考えて見る。
日本では毎年、おびただしい数の翻訳書が出版されている。
エンターテインメント文学やビジネス書といった定番に加え、大人向けの寓話的な作品、“いやし”や“こころ”をテーマにした作品も、ここ数年来の目立った売れ筋だ。
児童書でありながら大人の間でも広く愛読されベストセラーとなっている作品も多い。
翻訳書の出版点数が多いということは、それだけ業界の間口が広く、新人が参入しやすいことを意味する。
大勢の翻訳家に仕事が回るのだから、それ自体は喜ばしいことだ。
反面、未熟な翻訳家が量産されていると憂える声もある。
比較的簡単に仕事が受注できるぶん、出てくる翻訳家の質が玉石混交となり、真に優秀な翻訳家は非常に不足しているという。
出版点数が膨大である一方、市場の回転は速く、個々の作品の発行部数は近年顕著に減っている。
印税ベースで報酬を得る翻訳家にとって、これはなかなか厳しい状況だ。
通常、出版翻訳の報酬は印税の形で支払われるが、その金額は刷り部数によって大きく左右されるからだ。
最近では、刷り部数ではなく、実売部数を基準にするケースも増えている。
出版業界全体の返本率は50%内外だから、単純に言えば、実売部数は刷り部数の半分ほどということになる。
翻訳だけで食べていける一流の翻訳家は、日本に50人程度、という声もあるが、何より個人の力がモノをいう仕事ですから、ベテランより新人の方が、最初からうまいこともあり、実力次第でチャンスはある。